Book Lounge
2019.9.26

#002 アフターデジタル―オフラインのない時代に生き残る
藤井 保文(著)、尾原 和啓(著)

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タイトルが格好いい本がある。本書がまさにそれだ。

『ビーイング・デジタル』や『ビフォア・アンド・アフターサイエンス』などを連想させる。
しかも、題名だけである程度内容も想像できてしまう。
だったら、読まなくてもよいか、というとそれはもったいなさ過ぎる。
ぜひ読むべきだ。

僕も半分まで読んだ(笑)。半分まで読んだところで、大体何が書いてあるかわかったからだ。
(なんと傲慢な!)
だけど、著者の藤井さんとお会いしてから、後半も読んだ。藤井さんのお話がおもしろくて、全部読んでみたくなったのだ。本書には、これからの社会やビジネスを考えていくうえで有益なヒントが惜しげもなく示されている。すばらしい本だ。
(藤井さん、ありがとうございます)
本書の基本コンセプトは、ビフォアデジタルからアフターデジタルへの「視点の転換」である。これは、天動説から地動説への転換のようなもので、視点を変えることで世界の見方が一変し、そのことが以後、私たちの生活や社会を変えていく。視点が変わると何が変わるのか。例えば、オフラインの、リアルの意味が変わる。私たちの身近でいうと、店舗や人の接客の意味が変わる。合わせて、オンラインの意味も変わる。オンラインで得られるデータの質と量が加速度的に変化し、ビッグデータ化することによって、データが私たちの生活や社会におよぼす影響力が変わってくる。したがって、何のためにデータを収集し、何のために活用するのか、という目的が、データを収集すること以上に重要になってくる。詳しくは本書を読んでいただくしかない。とてもここで紹介できる範囲を超えているからだ。できれば、マーカーを引いたりしながら2回以上読むと良いかもしれない。なぜなら

「視点の転換」というのは、大事件であり、そのコンセプトを理解するだけでなく、実践しなければ意味がないからだ。

実際に自分の視点を転換して、世界の見方を変え、新しい世界を生きること、さらには、新しい世界をつくっていくことが求められる。これまで当たり前だと思っていたことをすべて見直し、再定義し、そこからつくり直さなければならない。そのためには、本書との対話だけでなく、自分自身との対話が欠かせないだろう。視点を変えると、自分にとってAの意味は、役割はどう変わるだろうか、どのように再定義されるか、そこからどのような価値が生み出せるのか。そういったことを自分に引きつけて、一つひとつ自問自答してみる。そのようなエクササイズをすることが本書の読み方だと思う。読書会も有効かもしれない。参加者それぞれが自問自答したことを持ち寄り、対話することで、自分一人では気づけなかったことに気づけたり、視野が広がったりする可能性がある。本書の読み方は、書いてあることを理解することではなく、実践することにある。自問自答と対話を通じて実践し、私たちの生活や社会をより良いものに変えていくのだ。

ちなみに、著者の藤井さんと対話した時のエピソードを一つ。僕の興味は、このようなすばらしい本を書いた藤井さんとは、どんな人だろう、どんなバックグラウンドを持った人なのだろうというものだった。率直に聞いてみた。藤井さんは学生時代、哲学を学びながらミュージシャンをやっていたそうだ。哲学の素養がありそうなことは予想できたが、加えて音楽でしたか。そういえば、世界観を喚起するのは、まず音楽なのかもしれない。それを体系的に説明するのが哲学かも。もう一つおもしろかったのは、藤井さんがオフラインとオンラインの融合で実現する、スムーズで充実した体験をどのようなイメージで思い描いているのか、ということ。

「ドラクエのようなRPGの体験に近い感じ」

というのが、答えだった。そうか、そうだったのか!このひと言で、アフターデジタルのイメージ解像度がぐんと上がった。そういえば、AIの研究で有名な松尾豊先生も何かの例えでドラクエの話をしていた。アフターデジタルやAIの野望は、リアルの世界にドラクエを実現することだったのだ。

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