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エストニアの電子政府について聞いたことがあるだろうか。
何と行政手続きの99%が、エストニアでは電子化されているらしい。
2014年からは、イーレジデンシー(電子居住)も導入され、国境までもが仮想的に拡張された。
すでに世界中で約6万人のイーレジデンシー取得者がおり、日本でも約2900人が仮想住民になっているという。
電子政府はキャッシュレスで世界一といわれるスウェーデンでも進んでいる。
また、インドでも驚くべきスピードで進められている。
日本では昨年、キャッシュレス化が話題になったが、世界の動きはキャッシュレスを超えて電子政府へと進んでいるようだ。
このことは#002の『アフターデジタル―オフラインのない時代に生き残る』(藤井保文、尾原和啓共著)で描かれた個人―企業のアフターデジタル化が、さらに個人―企業―政府へと拡張されつつあることを示している。
では、なぜアフターデジタルは個人―企業を超えて政府にまで広がろうとしているのか。
それは、
#003の『D2C-「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(佐々木康裕著)で述べられているとおり、個人と企業との関係は、従来のような売り手と買い手といったものから共感でつながるパートナーやコミュニティへと変容しつつある。
あるいはつくり手と消費者といった一方向的な関係から、ネットワーク的な共創関係へと移行しつつある。
こうした関係性の変化は、当然のことながら個人―企業にとどまることなく、
個人―政府へも波及する。
このようなアフターデジタルとアフターD2Cが、個人―企業―政府へと広がっていく未来について考察しているのが本書*である。
本書のことは先日、『アフターデジタル』の著者の藤井さんと対談した折に教えていただいた。
『アフターデジタル』と『D2C』には共通するところが多いが、本書を加えることで、その共通する部分の本質がさらに深められるだけでなく、より広がりのある視点から、今世界で起こりつつある歴史的な転換を理解することができる。
それは、デジタルトランスフォーメーションやキャッシュレス化といった流行りのキーワードに振り回されていては、決してたどり着くことのできない理解である。
浮かんでは消えていくさまざまな流行の底流にある本質的な変化を真摯に考察したこれら3冊と対話を深めることで、大きな潮流に押し流されるのではなく、これをしっかりととらえることで、より良い未来をつくるためのヒントが得られるだろう。
ちなみに、この3冊に関して気になることについて触れておきたい。
それは、グラデーションである。
『アフターデジタル』は青から黄、『D2C』は赤から青、そして本書では赤から青のグラデーションがあしらわれている。
文字情報と違ってビジュアル情報は、無意識のレベルでより深い情報を伝えることができるといわれている。
その意味でなぜ3冊が共通してグラデーションを用いているのかをつらつらと考えてみた。
これは、まったくの個人的な想像だが、
つまり20世紀から21世紀への転換である。
18世紀末の西欧で起こった産業革命以来の社会・経済がその頂点であると同時に限界を迎えた20世紀がようやく終わりを告げ、それを乗り越え進化しようとする動きが顕在化しつつある、そうした予感がグラデーションで表されているのではないか。
どうしてそんなことが気になるのかというと、実は昨年から僕の名刺の印刷もグラデーションになったからだ。
(青井なので青のグラデーション)
シンクロニシティの信奉者としては、この偶然の一致は見逃せない。
僕自身は1980年代からずっと時代の大転換期を生きているという自覚があったのだが、その間何度も歴史の揺り戻しのような出来事に遭遇して、ついに転換は訪れないのではないかと思ったことも幾度となくあった。
しかし、うれしいことにこの偶然の一致に遭遇したことで、転換期が訪れていることが確信できる。
しかもその夜明けが近いことが予感されて、今はうれしさと同時に、同志を得たような心強ささえ覚える。
歴史の転換期を生きることは実にスリリングで、胸躍るような体験だと思う。
その先頭を歩んで、ともに未来を切り開いていく仲間が増えることを願っている。
追記:藤井さんは現在、『アフターデジタル2』を執筆中とのこと。
しかもその内容にふさわしく、執筆の状況をネットで公開している。
アフターデジタルが『次世代ガバメント』との対話を経てどのように進化するのか注目したい。
合わせて、藤井さんと僕の対談も日経クロストレンドに掲載予定なので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
なお、#001~003までタイトルを「本との対話」としていたが、今回から「本と対話」に変更した。
本と自分との対話と同様に本を媒介とした人との対話が重要であると気づいたので。
* 正確には、『次世代ガバメント』は「本」ではなく「ムック」である。
その論じている事象がネットワーク的で、「本」を成り立たせるツリー状のロジック(例えば「目次」に基づいて構成される)になじまない、という理由で本ではなく、ムックと名乗っている。
同様に「著者」ではなく、若林恵さんの「責任編集」とされている。
このネットワーク的な営みの方法として「編集」という概念が重要になってくることについては、『D2C』の著者である佐々木さんも意識されているように、今後大きな意味を持ってくると思われる。
新しい記事を公開しました。ぜひご覧ください。#D2C #アフターデジタル #二項対立https://t.co/dSE5TNODAm
— この指とーまれ! (@maruigroup) 2020年4月2日
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