共創
2023.3.2

「面白株主とどう世の中を面白くできるか」面白法人カヤック

今回は、他社さまへのインタビューを通して、丸井グループがめざしている「ステークホルダー経営」についてお伝えします。
会社・社員・株主さまが一体となって利益、そして面白さを追求している面白法人カヤック 柴田 史郎さんに、「株主さまと会社が一体となって生み出す価値」についておうかがいします。

目次

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    神奈川県鎌倉市に本社を置く株式会社カヤックは、固定概念にとらわれない発想力・企画力、形にしていく技術力を強みに、ゲームアプリや広告・Webサイト制作を始め、コミュニティ通貨、移住・関係人口促進など最新テクノロジーとアイデアを掛け合わせた新しい体験をユーザーに提供する会社。「つくる人を増やす」を経営理念とし、社員の93%がクリエイター。通称、面白法人カヤック。

    サイコロを振って社員自身の賞与を決める「サイコロ給」や、全社員が人事部に所属し、自分たちが面白く働ける組織をつくる「ぜんいん人事部」制度、「コピー部」「Tシャツ部」といった不思議なクラブ活動など、ユニークな社内制度が数多く存在する。

     

    株主さまは、世の中を面白くしていく「仲間」

    今回、「面白株主」との取り組みをご担当されている、面白法人カヤック 執行役員管理本部長 CIO 柴田 史郎さんに、会社と株主の関係性についておうかがいしました。

    柴田 史郎さん

    カヤックの管理本部長。2022年6月から北海道下川町のCIO補佐官も兼任し、鎌倉と下川町に半分ずつ滞在している。会社でも、休日でも、真冬に北海道の下川町で働くときも、365日を同じ半袖Tシャツで過ごす、Tシャツ部唯一の部員。青春を落語に捧げた。

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    柴田さんは、1月中旬のインタビュー当日もTシャツでした

    ――カヤックさまの「面白株主制度」って何ですか?

    カヤックでは、株主の皆さまのことをカヤックを一緒につくるメンバーだと考え、「面白株主」と呼び、面白法人を一緒につくるためのイベントや取り組みを毎年実施しています。上場時からずっと私が担当しているのですが、企画を考えるのは本当に大変です(笑)。

    これまで、「面白株主に名刺支給制度」(カヤック社員が持つ「漫画名刺」を、株主の皆さんにも配布する)や、「株主オフ会」(カヤックの株主の皆さまが交流する場「株主交流会」の開催)などを試行錯誤しながら行ってきました。

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    特に一昨年から開催している「株主360度フィードバック」(面白法人がより面白い会社になるためのフィードバックを株主さまからいただき、回答を決算短信で公開する)は、あらためて株主さまが会社のことを注視してくださっていると感じられ、とても良い企画になりました

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    ただ、「カヤックを面白い会社としてほかの人にすすめたいと思いますか?」というアンケートも取ったのですが、ほかのステークホルダーさまと比べて株主さまの数字が極めて低く、ショックでした。今後、より会社へ期待してもらえるように取り組みたいです。

    また、フリーコメントでは厳しいご意見もいただきましたが、会社のことを一生懸命に考えてくださったうえでの本音だととらえています。なので、その声をどうまとめ、アクションするかは特に時間をかけて公開しています。

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    ――株主さまとのコミュニケーションやフィードバックを大切にしているんですね!

    そうですね。株主総会の前には、会社説明会や、ブレスト(ブレインストーミング)体験ワークショップ、オフィス案内など、カヤックの文化を感じてもらえるような株主さまと社員の対話の場をつくっています。総会では株主さまからの応援コメントや、社外取締役の方から「取締役会に参加してどうだったか」というコメントをいただくのですが、それは参加した社員にとってもモチベーションになっているようです。

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    ブレストの題材は、新しい人事制度案などさまざま

    当社には個人株主さまが多いこともあり、会社と株主さまの距離感は近いかもしれません。以前、面白株主制度の企画として合宿を行った際、参加をはがきで承ったのですが、「参加できないが頑張ってほしい」ととても達筆な方からわざわざ返信をいただきました。それまで、総会の質問はオンラインのみで受けていましたが、「ご年配の方など、オンラインでは回答しづらい方もいるのではないか?」と思い、翌年から案内にはがきも同封し、より広く株主さまの意見を募れるように改善しました。

    ――カヤックにとって株主さまはどういう存在ですか?

    これまで「面白株主制度」として、10年ほど企画をしてきて気づいたことは、「株主さまと『カヤックという会社をどうつくるか』よりも、カヤックの命題である『どう世の中を面白くするか』を株主さまと考えるほうが大事なのではないか」ということです。

    会社のために、社員からは労働力を、株主さまからは資本を募る。僕たちは、世の中を面白くしていく「仲間」なんだと思っています。

    その気づきを受け、今回の株主優待には株主さまからのアイデアを採用し、「自分たちの会社・地域に面白い仕組み導入ワークショップ」を追加しました。今年から順次開催予定なので、楽しみにしています。

    ――今後の取り組みや、めざしたいことは?

    今後は、会社にとっての株主総会の価値をあらためて見直したいと考えています。通常、総会の株主さまからの質問に対しては事前に想定回答を用意し、コントロールできない要素を減らす会社がほとんどです。ですが、反対にその場で質問を受け止め、回答するような「即興性」がカヤックにとっての株主総会の価値なのではないかと思っています。

    自分の仕事に真摯に向き合い、考え抜いていれば、株主総会の質問にもありのまま回答できるはず。年に一度の株主総会の場は、もっと普段の仕事ぶりを試す場になっていくべきなのではないか。そう考え、社内の想定問答も、一般的な回答か、当社の意思が込められる回答かを判別できるフォーマットに変えました。今後、面白法人ならではの回答の数をもっと増やしていくつもりです。

    「株主さまからのフィードバックを受け、会社がどれだけ変容できるのか」「株主さまと世の中を面白くするための施策をどれだけ実現できるのか」を追求することこそが、カヤックが株主さまと生み出せる価値だと思っています。

     

    株主さまと力を合わせ、会社のめざす「世の中を面白く」に取り組もうとするカヤックさま。株主さまとのコミュニケーションやフィードバックが、会社の取り組みをより加速させる力になっていました。

    丸井グループも、株主さま・社員を含めた「ステークホルダー経営」を実現し、大きな取り組みにしていくことで、めざしている「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブで豊かな社会を実現する」未来により一層近づくことができ、同時に企業価値の向上を図っていけると確信しています。

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