ダイバーシティ&インクルージョン
2022.1.27

"家族の形をアップデートする"ミッションの実現に向けて

丸井グループでは「性別にかかわらず一人ひとりが活躍できる企業文化の醸成」をめざして、今年度より社内の手挙げメンバー43名による「ジェンダーイクオリティプロジェクト」の活動をスタートしました。プロジェクトでは、同じ課題感を持つ、現役高校生でEaple*の代表でもある宮﨑 悠生さんと、夫婦間のコミュニケーションをサポートするプロダクトの実証実験を行っています。
今回は、宮﨑さんが実現したい未来や感じている問題意識を、現役高校生と活動家の視点からお話ししていただきました!

目次

    *Eaple...カップルや夫婦・パートナー間のポジティブなコミュニケーションを促進するプロダクト名でありチーム名。現在は高校3年生2名と大学1年生1名の計3名で活動中。

    負担を伝え、意思の疎通を円滑にするツールづくり

    自分も含め、Z世代のジェンダーに対する考え方はフラットになっていると思います。受験も控えていたので、世の中はどうか、という視点で調べたところ、大学教授の女性は男性の5分の1程度*1ということがわかりました。教える立場にある人の性別に偏りがあるのは、非常に問題だと思います。

    家庭についても、僕の家族が役割分担をできているかというと全然そうではありません。両親は会社経営を行っていて、仕事のスタイルは会社員の方とは違いますが、「平日は母親がメインで家事をこなし、土日は父親もある程度負担する」という構図は、一般的な家庭とあまり変わりません。

    夫婦の課題の大きな特徴として、「負担を感じている側しか課題を認識できない」というものが挙げられます。さらに、負担を感じていることを発信することこそが、更なる負担となってしまいます。Eapleでは、テクノロジーの力を用いることで夫婦間のコミュニケーションに発生してしまう「偏り」や「ズレ」を適切に発見し、解消できるようなツールづくりをめざしています。

    Z世代はSNSの利用人口が多いので、SNSで発言する機会はほかの世代よりも多いですが、SNSの特性上、女性の声などが意識しないと入ってこないということはとても問題だと思います。かといって、炎上や拡散によってたまに目に入ってくるものは過激な場合が多いです。個人の発信に頼らずとも、小さな不満や不安が適切に伝わるような社会構造にしていくことがとても重要です。

    誰もが違う価値観に触れる機会が必要

    僕自身は、一人ひとりの本当の意味での「しあわせ」を実現するためには、社会に根付いている選択肢や固定概念から、ある程度距離を置くことのできる環境が実現されなければならないと思っています。

    そのために「個人の価値観と社会の価値観のギャップを創造すること」をめざしています。今の日本では「良い大学から良い会社に就職し、安定した収入を得る」という人生が理想的だという固定概念を持っている人が少なからずおり、そこから外れた選択肢について考えることが少ないと思います。それは、そもそも多様な価値観に触れる機会が少ないからなのではないでしょうか。

    例えば、他国へ留学に行くと日本との教育システムの違いを感じますが、違う価値観に触れる経験が少ないと、見えている選択肢に対して疑問を抱くことすらありません。疑問を抱けるようになるには、異なる価値観に触れることが大事ですが、留学などには費用がかかります。価値観が形成される若い段階でありながら、多くの人が属するコミュニティとは何かと考えると、"家庭"ではないかという結論に至りました。家庭は早くから多くの人が属する共同体であり、独自の価値観をつくることができる可能性があるからです。家庭内に時間的・精神的ゆとりをつくり出すことで、さまざまな体験を通して家庭の個性や志向軸、家族にしかつくれない空気感に触れ、一人ひとりの価値観が確立されていくのでは、という仮説を持っています。

    僕が小学校6年生のころに、両親が起業にチャレンジする姿を見ていて、それが今の自分自身に影響を与えています。例えばそういった環境で過ごせば、キャリア選択というテーマについてより柔軟に考えることができるようになります。ギャップをたくさんつくってあげることで、社会の価値観に対して疑問を抱き、自分はどうしたいか、という視点で客観的に見つめ直すことができるようになると思っています。

    時間的・精神的にゆとりのある社会を実現したい

    丸井グループさんとは、一般財団法人ソーシャル・ビジネス・プラットフォーム(SBIP)のプログラムに出場したことがきっかけで、実証実験を一緒に行っています。家庭にゆとりを生み出すために、不満や悩みを可視化したり、夫婦の家庭の家事状況がわかるアプリをつくっています。

    そこでわかったのは、時間的なゆとりは夫婦だけの問題でなく、むしろ社会構造そのものが課題なのではないかということです。これからは、これまでのデータをじっくり分析しつつ、これまでとは異なる切り口でサービスを設計していきたいと思っています。

    丸井グループと取り組む前も含め、2年検証していますが、まだ検証フェーズです。焦りもありますが、「ゆとりをつくる」ことの大変さを実感しています。

    これからも家庭に時間的・精神的ゆとりをつくるサービスを通じて、一人ひとりが「自分らしくしあわせに生きる」ために、自分自身で客観的に考えて自ら選択できるような「多様性」にあふれた未来を実現したいと思っています。そのために丸井グループさんと、引き続き実証実験を続けていきます!

    丸井グループの活動について

    大企業として、性別役割分業の是正に取り組むことや、幅広い視点で「しあわせ」を見つめることは利益につながりづらいものの、だからこそ非常に意義深い活動だと思っています!とてもおこがましいですが、これからも社会に対して「しあわせ」とは何か?と投げかけ続ける丸井グループであってくださるとうれしいです!

     

    *1 平成28年度国内全大学女性教授数割合20.6% (出典:文部科学省 「学校基本調査」)