働き方
2023.11.1

【マルイノホンネ #6】若手の活躍

社員の本音を探り、丸井グループの実態に迫るマルイノホンネ。第6回となる今回は若手の活躍についてです。 丸井グループでは、年齢やキャリアにかかわらず、すべての社員が学びの場への参加や異動、昇進試験へのチャレンジなど手挙げで行っています。また、22年度下半期には「未来に向けた人的資本投資」の取り組みとして、評価制度や昇進試験の回数の見直しを行いました。それらの取り組みにより、入社年数や経験を問わず若手社員が早期に活躍できる環境づくりを進めています。 なぜ、丸井グループは若手社員の早期活躍の場づくりを進めているのでしょうか?その背景を探ると共に、実際に丸井グループで活躍する若手社員の働き方を取材しました。

目次

    挑戦を後押しする企業風土

    丸井グループでは、主体的に成長する人材の育成を目的に、年代や役職に関係なくチャレンジできる環境づくりを進めています。例えば学びの場やグループ横断プロジェクトへの参加から、人事異動や昇進試験のチャレンジにいたるまで、上司からの指名ではなく、すべて手挙げによって行われています。

    そのうちの一つに、「社内におけるデジタル人材の発掘と育成」をめざしてノーコードツールを用いたプログラミングの基礎を学ぶDX研修があり、これまでに90名の社員が参加しました。そして、インプットの場であるDX研修で得た学びを実装しアウトプットする場として、2022年12月に第1回丸井グループアプリ甲子園が開催され、DX研修に参加した社員を中心に約150名が参加しました。

    初開催となった今大会で、審査員が決める「優勝」と当日参加者の投票数で決まる「オーディエンス賞」をW受賞したのは、なんとその年に入社したばかりの新社員のみで構成された「OOB」チームでした!
    「OOB」は、フィルターバブル*によって視野が狭くなることから解き放たれ、新たな体験を提供するアプリで、サービスとアプリの独自性とアプリ開発の技術が高く評価されました。

    OOBが優勝、オーディエンス賞をW受賞した丸井グループアプリ甲子園についての記事はこちら
    https://www.to-mare.com/co-creation/2022/1-2.html

    この結果を受けて、今年4月には正式にグループ公認イニシアティブが組織され、入社2年目となったOOBチームのメンバーが中心となってアプリ実装へ向けたトライアルを進めています。

    *フィルターバブル...インターネット上のおすすめ検索機能によって、自分の興味のある情報だけしか見えなくなること


    実際どうなの?活躍する若手に聞いてみた!

    (左から)エムアンドシーシステム R&D推進本部 竹内 希実さん、財務部 今江 萌々香さん、エムアンドシーシステム フィンテック第1開発本部 大野 裕貴さん

    OOBメンバーにとって、公認イニシアティブでの活動がどんな効果をもたらしているか、ご本人たちにお話を聞いてきました。

    丸井グループ アプリ甲子園までの道のりの中で、大変だったことを教えてください。

    竹内:アプリ甲子園へ出場した時は、あくまで自主的な学びの場への参加という位置づけだったので、アプリの作成に関する基本的な作業は就業時間外に行っていました。そのため、自分たちが追い求めているクオリティと、それを実現するためにかかる作業時間のバランスには正直悩みました。

    今江:私が所属している部署では、上司や先輩がアプリ甲子園の出場にあたって、業務の合間に「この時間はアプリ甲子園に関することに使っていいよ」と言ってくださり、サポートをしてくれました。
    私が昨年10月に財務部に本配属された2カ月後にアプリ甲子園の決勝があったので、配属先の業務で覚えることも多く、現業との両立やメンタルバランスの整え方なども課題の一つでしたが、職場メンバーの皆さんからのサポートのおかげで乗り越えることができました。

    公認イニシアティブとして、OOBの活動継続が決まった時の気持ちは?

    大野:自分たちが「より良い未来のためにやってみたい!」と創造したアイデアを、会社にバックアップしてもらいながら実装できることはうれしかったですし、一方で、OOB参加より以前に別のイニシアティブに参加していた経験から、イニシアティブ活動を進めるうえでの課題も少なからず感じる部分があり、不安になったのもホンネです。なので、事前に事務局にも進め方については相談して、全員で試行錯誤しながら現在も活動を続けています。

    4月にグループ公認イニシアティブとなったことで、活動に変化はありましたか?

    イニシアティブとしての活動は就業時間内で行うため、作業時間の確保という意味では大きく変化し、これまでよりも作業が進めやすくなりました。
    一方で、アプリ甲子園出場までは当日のプレゼン、および優勝することを目的にしていましたが、イニシアティブになったことでより収益化をはじめとする利益構造への対応が求められると感じています。

    丸井グループでは年齢や経験にかかわらず「早期に活躍できる環境づくり」を進めていますが、イニシアティブでの活動では会社からどんな後押しがありますか?

    イニシアティブには丸井グループの役員の方がそれぞれ担当役員としてついていて、OOBは青井さんをはじめ3名の役員の方が担当してくださっています。
    青井さんには「やってみないとわからないから、とにかくやってみよう!」と言っていただき、活動を進めるうえで心強く感じています。また、経営企画、システム関連、コンプライアンス関連の部署など多くの方に協力していただき、入社2年目の私たちにはない専門的な知識や経験、社内における人脈などの部分をサポートしていただいています。
    丸井グループにとっても、今回のようなアプリ甲子園をきっかけとした事業創出は初めてのことなので不安や迷いもありますが、事業化へ向けて、ますます活動を加速させていきたいと思います。

    OOBの皆さんからのお話を聞き、「より良い未来にとって、これが必要だ」という信念にもとづく若手の挑戦を応援したいという、丸井グループの企業風土がうかがえるインタビューとなりました!!

    未来に向けた人的資本経営の取り組み

    丸井グループが「社会課題解決企業への進化」をめざし、若手の活躍を後押しする取り組みは、人事制度や評価の仕組みにも反映されています。
    世の中の変化と共に将来世代の価値観も変化しており、就活生が志望企業を選ぶ際に早期の裁量や昇進を重視したり、30代平均給与を調べていたり、早いうちから活躍できる環境を求める傾向がより強くなっています。
    しかし、積極的に人材投資をする企業が選ばれる世の中へ転換する中、早期のチャレンジ機会を求める将来世代が、入社後にギャップを感じるというケースは少なくありません。
    丸井グループにおいても、段階的に昇進が早期化している一方、意思決定層の「年代の多様性」についてはなかなか進んでいません。もともと、丸井グループには年功序列で昇進機会が与えられるような制度はありませんでしたが、それでも一定の時間と段階を経ないと昇進できない仕組みであったため、少なからず不公平感や不平等感があったととらえています。

    そのため人事制度を見直し、一定の段階とステップを経ないと昇進しにくい仕組みから、実力に合わせた公平な仕組みへと変更をしました。この制度変更は、若手の活躍を支援するだけでなく、すべての社員にとって公平にチャレンジする機会を増やすことにつながると考えています。


    人事担当者に聞く!
    若手の活躍を後押しする、そのワケは?

    v6_last.jpg

    丸井グループ 人事部 人材開発課 課長 原田 信也さん

    - 若手の活躍の機会を拡大し、チャレンジを後押しするのはなぜでしょうか?

    丸井グループの未来を創造する人材への投資・育成を、社員全員で進めていくことが急務ではないか、と考えたためです。

    現役世代から将来世代へ、デジタル技術の導入期から展開期への移行、そして有形資産から無形資産への長期的シフトという3つを今後10年で起こりうる大きな転換であり、私たちがスピード感を持って対応すべき環境変化であるととらえ、将来世代の常識であるデジタルやサステナビリティ、Well-beingへの適応は企業として必須の条件となります。

     

    また、企業選びという観点では、将来世代は早期のチャレンジ機会を求めていて、学生時代から積極的に行動し、早期活躍が期待できる人材が多く入社してきていただいていることもあり、丸井グループの未来を創造する人材への投資・育成を、社員全員で進めていくことが急務ではないか、と考えたのです。

    - 若手の活躍の場を拡大することについて、現役世代はどのようにとらえていますか?

    制度変更にあたり、全社員を対象に手挙げで集まった社員に対して説明会を開催し、今後の丸井グループの未来に向けて全員で共有したい価値観として「未来に向けた人的資本投資の考え方」を共有しました。

    ・将来の丸井グループを担う人材の「原石」を皆で見つけ、磨きあげる

    ・伸びしろが大きいタイミングで早期に責任ある仕事を任せ、皆で成長につなげる

    ・変化の潮流に対応できる人材を、皆でつくる

    そして、そのような価値観が企業文化として浸透した結果、将来世代から「選ばれる企業」になるとともに、意思決定層の価値観が多様になり、変化に強い企業になる。その結果として企業価値向上につながり、社員を含めたすべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和の実現にもつながる、という考え方を共有しました。

    説明会では、「ベテラン社員に対する厳しい制度変更では?」というお声もありました。一方で、「若手の成長機会を増やし、未来の丸井グループが持続的に成長できるようにしていくと理解し、共感した」などの声もあり、どちらのご意見もホンネだと思います。アンケートの回答では、「(とても+まあまあ)理解できた」という回答は、全社員を合わせて95%と、多くの社員の方にご理解をいただきました。

    - 今後に向けた課題や取り組みの展望について教えてください。

    制度をつくって終わりではなく、引き続き年代や経験にとらわれない風土づくりを進めていきたいです。

    丸井グループでは、めざすべき企業文化として「強制ではなく自主性」「やらされ感ではなく楽しさ」「上意下達ではなく、支援するマネジメント」を掲げ、これまでも、それに合わせて評価制度や昇進・昇格制度を改善してきました。

    長らくそのような企業文化を推進してきたことで、上位職者のマネジメントスタイルが変わったとともに、入社前からその様な企業文化に共感して入っていただく新入社員も増えてきたことで、若手社員が自ら考え、手を挙げて挑戦することは今では当たり前になりました。

    今回の「未来に向けた人的資本投資」の制度変更でも、多くの社員の皆さんにご理解いただけたのは、そのような「支援するマネジメント」という企業文化の変革を、丸井グループ全体で進めてきたことが大きいと思います。