この指とーまれ! by MARUI GROUP

Future View
2020.11.12

理想と現実のギャップを埋める―気持ちのいい社会の実現と挑戦

丸井グループでは、今後の経営にとって重要となるさまざまなテーマを考える場として「中期経営推進会議」をほぼ毎月開催しています。2019年12月には、「理想と現実のギャップを埋める―気持ちのいい社会の実現と挑戦」というテーマで、オンラインを活用した傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開する(株)Nature Innovation Group 代表取締役 丸川 照司氏にご登壇いただきました。

登壇者:丸川 照司氏/株式会社Nature Innovation Group 代表取締役

理想と現実のギャップを埋め、より良い社会の実現をめざす丸川氏から、傘のシェアリングサービス「アイカサ」の取り組みについてお話いただきました。天気に関係なく、いつでも好きな場所に移動できるような世界を実現したい」。丸川氏がサービスを始めたきっかけや現在にいたるまでの道のり、あきらめずに挑戦することの大切さ教えてくれます。

オンラインを活用した傘のシェアリングサービスを通して世の中をより良くしたい

たちは雨の日を快適にすること、そしてハッピーにすることを目標に「アイカサ」という傘のシェアリングサービスを行ってます。私は19歳くらいの時から、「世の中の変なところを変えたい」とずっと思ってました。そうした中で中国のさまざまなシェアリングサービスを実際に調べていくうちに日本ではかなりの量の傘が購入されていることを知り、「これ変わったらおもしろいな」と思ったことが今のサービスを始めるきっかけした

ビニール傘の問題"使い捨て"ということにあると思ってます。都内では、15万人が雨の日に傘を買年間で約8,000万本もの廃棄が日本全国でまれています。これはとてももったいないことですが、ビニール傘は、その場しのぎのためにつくられているので値段の安さが優先され、どうしても壊れやすく使い捨てが多くなってしまいます
のような中で、アイカサが支持されている要因4つあると考えています。まず1つ目は、時代の変化です。若い世代を中心に消費がモノからコトへと変化する中で、「何のために傘を買っているか」と考えた時「ただ濡れたくないだけいう考え方が広がってきていると思います2つ目、大企業とのオープンイノベーションの場が、近年すごく加速していることです。これは事業を成功させるための非常に大きなファクターなのでこれがなければアイカサは絶対うまくいっていないと感じていますそして3つ目持続的な社会のあり方」や「本来どんな社会が理想なのかこと世の中関心が少しずつ向かってためアイカサの事業が共感を得ているのだと思います。最後に4つ目は、ITがより多くの層まで行き届いていることですこのシェアリングサービスは、オンラインを通じてオフラインのサービスを届けるので、「スマホ決済」が浸透していることも非常に追い風になってます。この4つの要素があってアイカサは順調に事業を進められています

「移動の始まりと終わり」を意識することで、雨の日の私たちの行動を変える

雨の日は、私たちの行動大きく変わります例えば、ランチにラーメン食べに行こうと思った時に、が降っていると傘を買わないといけない。傘が600円もするのでランチ代が2倍になってしまう。すると、「もったいないよね」とランチに行くのをやめてしまい機会損失につながってしまいます。なので、私たちは天気に関係なく、いつでも好きな場所に移動できるような世界を実現したいと思っています。

そして、傘とアイカサ何が違うのかと言うと、アイカサは傘をIT化した存在だと思っています。雨濡れやすい場所にビニール傘を届ける専門の事業者ないので、日常生活で欲しいと思う場所にビニール傘が売っていないという現実結構あります。私たちはこれをデジタル化することによって無人運営ができるので、いろいろな場所にけるというメリットが出てきます。移動の始まり終わりに傘を置くことで、雨の日の移動をサポートすることができるのです

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アイカサのシェア拡大を進め、使い捨てのビニール傘をゼロにすることをめざす

アイカサは、渋谷からスタートしました。観光地でありながら、ビジネスマンや学生も多いので、いろいろなテストができると思ったからです渋谷空き地があれば、その場所のオーナーさんにけして「傘のシェアリングやりたいです置かせてください」という営業をたくさんしました。ただ、「傘のシェアリングって何?」というところから始ま「何でやっているの?」笑われることも多々ありました。その後、上野でトライアルしたに、上野マルイ方からアイカサのことを知りたいお問い合わせいただ説明にうかがいました。そのころアイカサは世間でもそこまで認知されておらず、まだ実績を積まなければけない時期でしたが担当者の方がとても好意を寄せてくださり、地域の商店街の方々が出席する会に呼んでいただきました。そこで多くの皆さんにさらに支持いただき、JR上野駅をはじめ上野のさまざまな場所に設置することができました。このように、渋谷や上野からサービスをスタートしいろいろな仮説を持ちながらトライアルをくり返しました

また、鉄道会社さま協業させていただいたことにより、一気にユーザーが伸び、リピート率も圧倒的に伸長しました移動サポートを担鉄道会社さまとの協業は、アイカサの事業とすごくマッチました今後全沿線全駅に設置することをめざていきたいと思ってます。そうすること、雨の日の東京の経済圏が少し広がるのではないかと期待してます。

駅に設置することは、さまざまなメリットがあります。これまでは、私たちがいろいろな場所に営業行っていましたが現在は一切してない状態です。アイカサを置くことで駅との導線ができお客さの利便性が上がるという理由からオフィスビル、マンション、さらにはコンビニまで、さまざまな場所から「アイカサを置きたい」と言っていただいています。現在シェアは徐々に拡大しており、将来には都内に年間20万本流通させたいと思っています。ビニール傘の消費が年間約15万本なので、ビニール傘とアイカサのシェア半々近くにることをめざしています。もちろん都内だけの話ではなく、日本全国に拡大してきたいと思っています

今はまだイメージしづらいと思いますが「ビニール傘って、そもそも何で買うの?」という気持ちを醸成し、雨の日のユーザーの行動変えるとともに、使い捨てのビニールゼロに、これがたちめざしてるところです。ただ、もちろんそれだけでなく、いろいろなオフライン事業者の皆さんとアライアンスを組みながら生活に関するサービスも今後展開していきたいと思っています。

無知だからこそ、挑戦することができる

私は、どんな事業でもタイミング次第でそれは必ず実現する思ってます。知識がないとできないとか、やったことがないとできない固定概念はかせになってしまます。ですが、難しいことでも絶対できると思ったら、案外できる方法思いつくことがあります。なので、知識や経験がなく、無知いうのは逆に強い武器にもなります。私無知じゃなかったら、途中で挫折してたと思います。無知だからこそ飛び込んでけて、挑戦することができる。そして、そこで決してあきらめず、必ずできる方法を見つけること大事にしてたからこそ、今の結果につながったのではないか考えています。もちろんその分遠回りしましたが、結果的にそれが一番の近道だったかなと思ます。

登壇者プロフィール
丸川 照司氏
株式会社Nature Innovation Group 代表取締役

幼少期はシンガポールや東南アジアで過ごし、中国語と英語が話せる。18歳の時にソーシャルビジネスに興味を持ち、社会のためになるビジネスをしたいと志す。19歳の時に子ども目線の反抗期カウンセラー、20歳の時に株式会社ノジマでセールストップ10、その後マレーシアの大学へ留学。在学中に中国のシェア経済に魅了され、大学を中退して自身が最も欲していた傘のシェアリングサービスを始める。夢は財団をつくること。

「アイカサ」公式サイト

■おすすめ書籍

「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方|ちくま文庫|2011/11/9

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