働き方
2023.1.6

「ソーシャル・イントラプレナー・フォーラム」開催!

社会の課題を解決することがビジネスの目的になりつつある今、必ずしも1人ですべてをつくり出す必要はありません。組織にいながらリソースや社会的影響力を上手に活用して社会的変化を生み出していく「ソーシャル・イントラプレナー」という生き方・働き方を推進し、新たな共創機会を創出すべく、有識者をお招きし、イベント「ソーシャル・イントラプレナー・フォーラム」を行いました。

目次

    ソーシャル・イントラプレナーとは

    「ソーシャル・イントラプレナー」(social Intrapreneur)とはサステナビリティ経営の大家 ジョン・エルキントン氏が提唱した用語です。「社会起業家」(社会のニーズを満たすために、社会的な事業や組織、活動を新たに立ち上げる人々)に近い存在で、既存の組織で働くことによって、その力やリソースを活かして活動する人々です。

    「社会的課題を解決するための企業的機会を、既存の組織から見つけ出し、実践する自律的なプロセス」(=ソーシャル・イントラプレナーシップ)を持つ人々を指します。一般にゼロから会社や事業を創り出す起業家を意味する「アントレプレナー」(entrepreneur)と区別してこう呼びます。

    丸井グループでは、ソーシャル・イントラプレナーの活躍を通じて社会課題の解決が加速する世の中を実現するため、社内横断イニシアティブを立ち上げ、公募で集まったメンバーを中心に活動を行っています。

    ソーシャル・イントラプレナー・フォーラム

    11月17日(木)、ソーシャル・イントラプレナーの認知・共感の拡大に向け「ソーシャル・イントラプレナー・フォーラム」を開催し、社内外から241名が参加しました。

    ご登壇者:株式会社商船三井 香田 和良さん、富士通株式会社の本多 達也さん、丸井グループ 代表取締役社長 青井 浩、同じく社外取締役 ピーター D.ピーダーセンさん

    イベントでは、丸井グループ社内横断イニシアティブメンバーから「日本国内で社内起業が進みづらい」課題の共有や、ご自身がソーシャル・イントラプレナーとして活躍されている香田さん・本多さんのご講演、さらに、お二人に青井とピーダーセンさんも交えたトークセッションや、ソーシャル・イントラプレナー診断(ミニワーク)を行いました。

    ソーシャル・イントラプレナーである香田さん、本多さんのご講演

    ご講演には、ソーシャル・イントラプレナーとして働くお二人が登壇し、取り組み内容や働き方を選択したきっかけについてお話しいただきました。

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    (左から)香田さん、本多さん

    株式会社商船三井 香田 和良さん

    香田さんはもともと海が好きで株式会社商船三井に入社。2020年に起きた、モーリシャス島沖における同社がチャーターしていた貨物船による油濁事故に心を痛め、「将来世代に海の豊かさを引き継ぐために、海事産業をどう活用できるか」を考え始めたそうです。海へのパッションを原動力に、社員提案制度を活用してマングローブ林の植林と保全による、ブルーカーボン*事業を提案。20221月より、事業をスタートさせました。

    *ブルーカーボン:海洋生態系によって大気中から吸収・貯留されている炭素のこと。

    富士通株式会社 本多 達也さん

    本多さんは、学生時代にろう者の方と出会ったことや、ご自身がデザイン・テクノロジーの勉強をしていたことをきっかけに、会社員として働きながら、振動と光によって音の特徴を体で感じることができるろう者向けのインターフェイス「Ontenna(オンテナ)」の研究開発をしていました。しかし、思うように「Ontenna」の取り組みを形にできず課題感を抱えていたところ、富士通の役員の方の紹介を受け、製品化に向けて入社を決意。仕事として「Ontenna」に取り組めるようになりました。

    ご講演を受け、会場からの「どのようにKPIや事業戦略を立てているか?」という質問には、両氏より「会社へのインパクトに沿う形で自ら作成し提案を行っている」とご共有いただきました。また「どのように周りの人を巻き込んでいるか?」という質問には、本多氏より、「自分ごととしてとらえてもらうことが重要。プロジェクトメンバーから役員の方まで、現場(ろう学校に足を運んでもらっている」とのお話がありました。

    香田さん・本多さん・青井・ピーターさんによる対談

    香田さん・本多さんのお話を受けて、青井から「ソーシャル・イントラプレナーは香田さんのように『会社にいながら事業を立ち上げること』だと思っていたが、本多さんの話を聞き、この手があったかと気づかされた」と参加者にとって大きな発見になったのではないかとお話がありました。

    また、ピーターさんからは「一人では難しいので仲間を見つけ、Dreamer(ビジョンを語る人)&doer(実績を出す人)であることが大事」とお話がありました。最後に「苦労をどう乗り越えたか?」の質問について、「大きな取り組みで実現が難しいところを、諦めず粘り強く上司や同僚と実現の道を模索した」(香田さん)、「いろんな方からいろんなことを言われパニックになりそうな時は、ろう学校に行き、やるべきことを再確認していた」(本多さん)とご自身の経験をお話しいただきました。

     

    ソーシャル・イントラプレナー診断

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    参加された方々に、ソーシャル・イントラプレナー診断に取り組んでいただきました。10個の質問に5段階で評価を付けていくことで、個人の働き方・組織環境に、どの程度ソーシャル・イントラプレナーのポテンシャルがあるのかを簡単に診断できるツールです。

    参加者からの「ソーシャル・イントラプレナーシップを発揮しようとしても組織に壁がある」という診断結果を聞き、ピーターさんからは「予算を持っている人を味方につけ、時には根回しもして忍耐強く取り組むことが重要」とのアドバイスがありました。

     

    最後に青井からの「イントラプレナーを広げていくことで人々の生きがい・やりがいにつながり、社会をしあわせにしていきたいです。今後も継続してこのようなイベントを開催することで、日本社会全体に『ソーシャル・イントラプレナー』を広めていきたいと思います」という言葉でイベントは幕を閉じました。

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    今後もソーシャル・イントラプレナーの活躍を通じた社会課題解決を加速させるため、活動を継続していきます。Facebookでも活動を発信しておりますのでぜひご覧ください。
    https://www.facebook.com/marui.intrapreneur


    書籍『ソーシャル・イントラプレナー~会社にいながら未来を変えられる生き方~』

    国内では馴染みの少ないソーシャル・イントラプレナーという「未来を変える生き方」をより多くの方に知っていただくため、社内横断イニシアティブで書籍の翻訳・出版に取り組みました。

    原著『The Intrapreneur's Guide to Pathfinding』(著者:マージョリー・ブランズ/マギー・デ・プリ―/フローレンシア・エストラーデ)は、グローバル企業で活躍するソーシャル・イントラプレナーの知識・スキル・活動ノウハウなど、組織の中で社会を変えられる生き方が、実例を踏まえ紹介されています。

    今回、ピーダーセンさんと原著者の一人、マギー・デ・プリさんとのご縁によっての翻訳・出版が実現し、翻訳作業は、ピーターD.ピーダーセンさん監訳のもと、イニシアティブに参画する社員が担当しました。所属する組織で、社会課題解決を推進したい方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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