丸井グループでは「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」を経営理念に掲げ、人的資本経営に取り組んでいます。手挙げ制による自主的な学びの場への参加やグループ間職種変更など、多くの社員がさまざまな経験をそれぞれのキャリアに役立てて活躍しています。 連載「カラフルキャリア~これが私の原動力~」では、多様なキャリアで活躍する社員に注目し、その原動力をひも解いていきます。今回は、丸井グループのDX支援を担う、株式会社Goodpatchとの合弁会社Mutureの執行役員を務める中村 紘也さんにお話をうかがいました。
─現在のお仕事内容を教えてください。
現在、Mutureの執行役員として事業推進・事業拡大・コーポレートを担当しています。
<事業推進>
丸井グループへのDX支援プロジェクトに参画し、組織変革を事業成長へつなげるための全体設計や、支援内容の品質管理を担っています。
<事業拡大>
丸井グループで培ったナレッジを、サービスとしてほかのエンタープライズ企業に展開する責任者として、チームと一緒にサービス定義・PR・商談・成約マネジメントを担当。成約後はプロジェクトにも実務メンバーとして参画しています。
<コーポレート>
経営企画・財務領域を中心に、事業戦略立案から予実管理、組織全体の体験向上施策の意思決定〜導入まで幅広く担当しています。
─中村さんは入社以来、共創投資や新規事業推進など丸井グループの中でもさまざまな新しい取り組みを進めてこられましたが、そもそもどのようなきっかけで入社されたのでしょうか?
直感的に「お客さまのお役に立つために進化し続ける」という理念に惹かれたことを覚えています。自分の学生時代を振り返っても、ガラケーからスマホへ、そして使うアプリも時代時代で変わっており(例えば、mixi→Twitter→Instagram)、世の中の変化に対応していけるしなやかさがある方が、飽きやすい自分の価値観にも合っていると感じました。いろいろな社員の方に会うたびに、芯を持ちつつも、変化に積極的な姿勢を感じ、世の中はどうなっていくかわからないけど、この会社ならさまざまなことにチャレンジできそうと思い、入社を決めました。
─入社4年目にCMA(次世代経営者育成プログラム)に参加されたそうですが、参加の理由は?
当時、共創投資部 でスタートアップ企業とのフロントを担当 している時に、ほぼ同世代の経営者と対話をする中で、自分の視座の低さを痛感しました。経営者の皆さんのように、自分は丸井グループの事業の未来を語れるのか?共創先とかけ合わせた時にこんな未来がつくれるということを両社の企業価値につながる納得感のあるストーリーとして語れないと、そもそも相手にしてもらえないと感じました。
会社のビジョンを重視する経営者のいるスタートアップ企業ほど、担当者を信用できないなら株主としても入り込んでほしくないと当然考えますし、その考え方には非常に共感しています。
そこで、プログラムを通して経営視座を養うことできる社内プログラムのCMAに参加を希望しました。自分に足りていないと感じていた経営視座や、事業への理解など、そこで学んだことは、現在の執行役員としての仕事の中で活かされていると感じます。
若手社員時代。調査部メンバーと
─Mutureでは、設立メンバーとして経営理念やミッション・ビジョン、人事規程にいたるまで一から会社をつくる経験をされたということですが、難しかった点や苦労したことはどんなところですか?
Mutureは、Goodpatch社と丸井グループの合弁会社です。ビジネスモデルや取締役構成、収支計画などは当然それぞれの考え方があります。その中で、双方の意をくみながらも、自分たちも納得できる計画、成長ストーリーや目標を考えていかなければいけなかったので、その点は難しかったですね。
一方で、Goodpatch社と丸井グループ、それぞれのトップである土屋さんと青井さんが「丸井グループのDXを本質的に進めていくんだ」という想いでコミットしており、軸がぶれるようなことはなく、一歩ずつ着実に前に進めることができました。
また、青井さんからは「単なる子会社のような考え方はしないで」とも言っていただきました。せっかくこんなおもしろいことを始めたのだから、自分たちの想定内の行動に納まる必要はない。経営者として、自分たちが何をするべきか考えて責任を自覚してアクションするようにも言われ、新たなチャレンジに対し背中を押していただきました。
─新しく会社を立ち上げるというかなりハードな業務を任されたと思いますが、そんな中で中村さんが感じる仕事のやりがいとは何でしょうか?
丸井グループでは、常に前例も正解もない環境に身を置けることがやりがいです。 自分やチームで考え抜いて挑戦しても成果にはなかなかつながらず、力不足を痛感することも多々ありますが、一方で現場から経営まで対話を通じてアイデアや企画を磨き上げ、最後に実行していく過程は非常にワクワクするものです。
Mutureにおいては、特に自走型組織に転換して事業成長につながったことが印象的です。 例えばマルイ・モディへのオンライン出店サービス「OMEMIE」の運営チーム で、プロダクト開発ディスカバリーからデリバリーのプロセス構築、顧客へのデプスインタビュー、プロダクト戦略策定、アジャイル開発推進など、プロダクト開発をBTC横断で取り組む経験はゼロベースだったところから、丸井メンバーや専門性を持つメンバー と共に構築しました。
Mutureでは最終的にはMutureなしで自走できる組織状態をめざしており、そのハードルはもちろん高いですが、2W 単位でプロダクト開発を回し、KPIの成長につながり、本人たちも苦しみながら成長を実感して喜んでいる姿を見た時は、何よりもうれしく誇らしい瞬間でした。
現職であるMutureのメンバーと
─2022年から丸井グループのDX支援を担うMutureの執行役員に就任されましたが、企業のいち社員と経営者で大きく違うことがあるとすればどんなことでしょうか?
「今自分たちは何を考えなければいけないのか」ということについて、一からアジェンダをつくらなければいけないところが大きく違うと思っています。ある程度決められたテーマの中で「自分はどう行動するか」を考えるのではなく、何もないところから一から考え、実行までもっていき、その実行の責任を持つことが経営には求められます。
─経営側になったことで仕事に対する考え方には変化はありましたか?
経営を担うことで、これまで遠くから見ていた世界とはまったく違う現実を痛感しています。自分は本当に未熟で、経営経験も浅く、視座も低いと感じています。しかし、未熟さを理由に意思決定をしないことは責任放棄でしかなく、決めたことを正解にしていくために行動し続けるしかないと思っています。
何よりも、「事業がうまくいかない」「採用がうまくいかない」「組織づくりがうまくいかない」これらはすべてが経営の責任です。
全員の採用に携わっているからこそ、その人の人生を預けていただいた気持ちを持ちつつも、その人と事業の両方が良い方向にいくために尽くさないといけません。
でも現実にはトレードオフも当然あります。さまざまな矛盾とも向き合いながら意思決定と実行を回していく日々です。
そして何より、組織や文化が揃わなければ事業推進ができないことも学びました。 バラバラの方向を向き、個人商店化していては組織として大きな成果は出せないですし、知識が蓄積されません。 「組織や文化をマネジメントする」ということの必要性は、Mutureに来たからこそ得られた大きな学びです。
─中村さんが仕事をするうえでの原動力は何ですか?
自分は常に「井の中の蛙」であることを反動的に原動力にしています。 基本的に自分に自信はなく、専門性も経験もまだまだ浅いと感じます。ただ、だからこそ、何もない自分が考え、動き、行動量でカバーしていき、気づいたら何かを残せている。そんな過程におもしろさを感じます。
Mutureでも、プロジェクト参画や学びの機会に積極的に活かせてもらいながら、周囲から多くのフィードバックをもらい必死にやってきました。しかし、成長を感じても上には上がいる。その絶望感すら、もはやおもしろいと最近は感じています。 周囲のプロフェッショナルや経営陣の背中を見て、自分はダメだなと感じながらも挑戦し続けることがもはやモチベーション になっています。
これまでのキャリアを振り返ってみると、「前例のないこと、正解のないこと」にさまざま挑戦してきましたが、いずれも私にとって大きな学びの経験になりました。挑戦している時は、怖いですし、しんどいですけどね(笑)。
─丸井グループの一員として叶えたいこと、やってみたいことを教えてください。
サービスを他社に展開する中であらためて、丸井グループのビジネスモデルと戦略のユニークさ、そして変革を支える企業文化にあらためて可能性を感じています。 一方で、外部人材や専門性活用との融合にはまだまだ伸びしろがあり、単なる中途採用や外部委託ではなく、既存社員と外部人材がお互いに高め合いながら、戦略の実現に向けて一致団結できる構造や制度をつくることが重要だと考えます。
Mutureを通じて、丸井グループ内に新たな人材の多様性と化学反応を起こし、例えばプロダクトマネジャー人材のように新たな活躍の可能性と事例を生み出し続けられたらうれしく思います。
─個人として叶えたい事、やってみたい事を教えてください。
プライベートでは、持病を持ったことをきっかけに、もっと冒険したいと思うようになりました。 登山、キャンプ、海外旅行など、これまで体験したことのないことに挑戦したいです。 家族と行った海外ディズニーや、職場の人と行ったキャンプなどは本当に良い思い出で、これからもアクティブに動いて新しい世界を見てみたいと思っています。