皆さん職場で生理や更年期の話できますか? 性別特有の健康課題は社会全体として解決すべき課題として認識されはじめていますが、職場で話題にしにくいテーマと感じる方が男女共に多いのではないでしょうか? 悩んでいても生理や更年期の話って職場でしてもいいの?相談されたらどう答えればいい?マルイノホンネに迫ります。
このような経験がある方は少なくないのではないでしょうか。デリケートな話題だからこそ、言葉にするのは難しいですよね。
そんな中、丸井グループは企業としてどんな取り組みをしているのでしょうか。解説していきます!
丸井グループでは、社会課題解決企業*1の実現に向け、社員一人ひとりが創造力を全開にするフロー*2を体験できる組織をつくることが必要であると考えています。2024年6月に実施した社内アンケートから、フローを体験できる組織づくりには、性別特有の健康課題をサポートし合えることが1つのカギであることが見えてきました。
*1社会課題解決(インパクト)と利益の両立を実現する企業のこと
*2能力と挑戦のレベルがうまく釣り合っている時に 「時を忘れ、我を忘れて」没頭する状態
性別特有の健康課題をサポートし合える組織をつくるために、風土と制度の両輪で取り組みを進めています。
風土面では、生理や妊活に関する知識習得や理解促進の研修を定期的に実施し、一人ひとりの社員が活躍できるよう健康課題を持つ社員のサポートする気持ちを醸成しています。
一方、制度面においては、生理日やPMS(月経前症候群)で就業が困難な日に利用できる「F休暇」(F=Femaleの略)や2年まで取得可能な不妊治療のための休職などを導入するとともに、フレックス制度や時間帯有休の取得、テレワーク活用により健康課題があったとしても働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
今回は、いくつか実施している研修の中から、「サポートし合う職場づくり」を実現するため、10月に実施した管理職対象の「性別特有の健康課題セミナー」に潜入!サポートの実体験のある社員が登壇し、上司・部下それぞれの目線でのお話しをお伝えします。
登壇した社員の丸井グループ 総務部 広報室 大浦菜摘さん(写真左)と有楽町マルイカードセンター 吉村健さん(写真右)
ー大浦さんは北千住マルイの雑貨売り場で働いていた際に生理で悩んでいたそうですね。当時、上司の吉村さんからサポートがあったとのことですが、その時の実体験を教えてください。
もともと生理痛は重い方でしたが、長時間の立ち仕事でどんどん症状が悪化していきました。売り場で働いている際もつらくてしゃがみこんだり、救護室に運ばれることもあったり...。生理痛は我慢して当たり前と思っていたので、吉村さんに病院の受診をすすめてもらい初めて「病院に行くべきなんだ」と驚いたことをよく覚えています。その結果、子宮内膜症という病気だとわかり、自分の身体と向き合うきっかけになりました。
ー男性の吉村さんが、大浦さんにもなかった病院を受診するという選択肢を提示できたのはなぜでしょうか?
センシティブな内容なので、男性が生理や女性特有の病気を言葉に出すのは抵抗がありました。ですが、日ごろから仕事に前向きに取り組む姿を見ていたし、志の高い大浦さんの100%の力を発揮してもらいたいと考えた結果、病院の受診をすすめることにしました。
ーそうだったんですね。何か工夫されたことはありましたか?
健康状態が良好だったチームメンバーのケアも大事にしていました。大浦さんがお休みの間は現実として人員が薄くなるので、出勤するメンバーに負担がどうしてもかかってしまいます。そのため、いつも以上に声かけや頑張っている姿をほめるなど心のケアもするようにしました。
ー大浦さんは職場での人間関係についてどう感じていましたか?
不調で早退する際、チームメンバーに申し訳ない気持ちでいっぱいでしたし、どう思われているか不安でした。ただ、婦人科に通い始めて、生理痛を改善する努力をしているという点がチームメンバーの納得にもつながったと思いますし、病気のことを自分から話せるようになりました。これは私の場合ですが、かかりつけ医のもと、低用量ピルを服用することで身体も心も安定してきたんです。吉村さんに背中を押してもらい、病院に行ったからこそ、今もこうして広報室でイキイキと働けるようになりました!
ーサポート体制が実践されることで、大浦さんのようにイキイキと「一人ひとりの活躍」が実現するということですね!
研修に参加した社員の声を聞いてみましょう。
リテラシーは持っているつもりだったが、それをどう具体的にサポートするか気づけた
個人差があるテーマだが一人ひとりを理解することは多様性を重んじることに通じると感じた
プレコンセプションケア*3という概念を知り、年齢性別にかかわらず男女双方に健康意識を高めていくことの大切さに気付いた
*3 男女共に性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うよう促すこと
エポスカード 業務部 総務人事課 池田 弥生さん
(研修企画当時:丸井グループ ウェルビーイング推進部)
職場では話しにくいテーマと認識されていると思いますし、一人で我慢しないと、と思っている方も多いと思います。
そんな中、無理に「自身の健康課題について話さないといけない」と受け取られないようにどうお伝えできるかが難しいと思っていました。
工夫としては、「性別特有の健康課題は生理だけではない」ということで、社内のほかの部署とも連携して男性育休などの研修と一緒に実施しました。また、全社員向けに研修を行った際も、社内イントラにて「何でこんな研修やるんだっけ?」ということを自分たちの言葉で伝えられるようにしました。
社内イントラに掲載された記事(抜粋)
アンケートから、女性社員の60%は生理で就業のつらさを感じているにもかかわらず、生理休暇の取得経験は3%にとどまり、使いたい人に使ってもらえていない制度になっていることがわかりました。
有給になることに加え、「生理休暇」という名称が変更になれば利用したいという声が多数あり、つらい時に使ってもらえる制度になってほしいと思い、有給化と名称変更にいたりました。
さらに、PMSにより就業のつらさを感じている女性社員は45%いることがわかり、今回、休暇の適用範囲も広げることになりました。
F休暇だけでなく、婦人科のオンライン診療や低用量ピルの処方を1年間無料で受けられる「ルナルナオフィス」といったサービスも導入しています。 研修でサポート体制ができる風土を整えるとともに、このような制度やサービスを活用し、自分の体調をコントロールして、登壇いただいた大浦さんみたいに、イキイキ元気に働く社員が増えるとうれしく思います。
現在はおもに生理にフォーカスが当たっていますが、更年期や男性更年期、男女共に若い世代から性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うよう促す「プレコンセプションケア」についても、イキイキと働くために必要なことだと丸井グループは考えています。このように、さまざまな分野の性別特有の健康課題を取り上げながら、セルフケアとサポートし合える職場づくりを推進することで、フローを体験できる組織をつくっていきます。