働き方
2025.9.30

カラフルキャリア ~私の原動力~#20「自ら選んだ『休職』は、最大の成長チャンス」

丸井グループでは「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」を経営理念に掲げ、人的資本経営に取り組んでいます。手挙げ制による自主的な学びの場への参加やグループ間職種変更など、多くの社員がさまざまな経験をそれぞれのキャリアに役立てて活躍しています。 連載「カラフルキャリア~私の原動力~」では、多様なキャリアで活躍する社員に注目し、その原動力をひも解いていきます。今回は、「女性の活躍」をテーマに、多彩な経験を現業で活かしている共創投資部の桝井綾乃さんにお話を聞いてきました。

目次

    フラットな組織体制でスピード感を重視する共創投資部

    ―現在のお仕事内容を教えてください!

    共創投資部は、丸井グループとの親和性が高いスタートアップ企業を探し、「共創」を通じて利益とインパクトの両立を実現することをめざす部署です。共創先企業とは、同じ志を持つ仲間としてシナジーを発揮し合い、お互いの本業の利益拡大と社会課題の解決につながることを大切にしています。
    現在は4チームに分かれており、私が担当する「共創の場づくり」を担うチームでは、既存投資先の株主として、共創先の企業価値向上につながる支援を行うほか、新たな共創投資先を見つけるためのリサーチや外部イベントへの参加や登壇を通じたソーシング活動も行っています。

    ▼共創投資先はこちらからチェック
    https://www.0101maruigroup.co.jp/business/investment.htm

    ―共創投資部は「課長のいない組織」を導入している部署ですが、どのような組織体制なのでしょうか?

    共創投資部では、従来のように課長やチーフといった役職による縦型の組織ではなく、「課長のいない組織」、つまり「チーム制」を導入しています。これは、管理職が上から指示を出すのではなく、チームのサポーターとして横に並び、一人ひとりのメンバーが自立して動けるよう支援するスタイルです。
    このようなフラットな組織体制により、メンバー同士が対等な立場で意見を交わしやすくなり、チームとしての創造力や柔軟性が高まります。スタートアップとの共創ではスピード感が大切なので、この「チーム制」は組織の特性に合っていると思います。

    やりがいを感じるきっかけとなった、先輩の言葉

    ―中途採用で丸井グループに入社されたとうかがいました。どのような背景があったのでしょうか?

    新卒では、英語を使って仕事がしたいという想いと、プロダクトを扱う仕事の方が自分に合っていると感じて、ワインの専門商社に入社しました。希望を持って飛び込んだのですが、実際に働いてみると理想とのギャップが大きく、心身共に疲れてしまい、退職することにしました。

    その後は、学生時代の百貨店でのアルバイト経験を活かし、マルイの店舗でアルバイトとして働き始めました。働きながら就職活動をしていたのですが、別の会社から内定をいただいたタイミングで、マルイを退職する意向を伝えたところ、ちょうど丸井グループの正社員登用試験を受けられるチャンスをいただいたんです。せっかくの機会だったので、思い切ってチャレンジすることにしました。そしてご縁があり、丸井グループに中途入社することができました。
    今だからこそ言えるのですが、当時は「夢」や「やりがい」といった前向きな気持ちよりも、「生活のために働かなきゃ」という想いの方が強かったですね。

    ―リアリティのあるお話ですね。入社後に心境の変化はありましたか?

    正直に言うと、入社してから数年間はあまり気持ちに変化はありませんでした。前職の影響もあり、やりがいを見出すというよりは「言われたことをやる」という受け身の姿勢が、自分の中に染みついていたと思います。

    そんな中、入社5年目に店舗プロデュース部に異動し、マルイの店舗に入るテナントの開発やサポートを担当するようになってから、少しずつ意識が変わっていきました。きっかけは、当時Appleの出店プロジェクトで一緒に働いていた先輩の言葉です。「この仕事の良さは、自分のやってきたことが目に見えて""になること。マルイの店舗を家族に見せられるのがうれしいんだよね」と話してくれて。その言葉を聞いた時、「すてきだな」と思ったんです。

    それまで私は、仕事に対してそういう感覚を持ったことがなかったので、とても新鮮でした。
    自分の取り組み一つひとつが、誰かにとって価値のあるものになっていく。そう実感できるようになってから、仕事がどんどんおもしろくなっていきました。

    Apple出店プロジェクトの際に訪問したドバイ出張の写真
    (左から 丸井社長の青野さん、現地の方、桝井さん)

    「休職」を選択!オリンピックの裏側で学んだこと

    ―さまざまなことに「手挙げ」でチャレンジしている桝井さんですが、きっかけはありましたか?

    もともと興味のあることには積極的にチャレンジするタイプでしたが、その姿勢にさらに磨きがかかったのは、ステップアップを目的とした「休職」を経験したことが大きかったです。私の場合、自ら出向するつもりで新しいチャレンジの場を見つけ、そこでの学びを持ち帰るために休職をしました。

    英語を使う仕事がしたいという私の想いを知っていた家族が、「公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」の正規職員の求人広告が出ていることを教えてくれたんです。
    「日本で開催されるオリンピックに仕事として携われるチャンスは、人生において最初で最後かもしれない」と思い、ボランティアではなく正規職員として活動するために、丸井グループの人事部に長期休職の相談をしました。「国際局で多様性の価値観を深め、英語スキルを磨き、それを現業で活かすことで丸井グループに還元したい」という提案をし、20204月から休職を取得することになりました。

    仕事内容は、JOC(日本オリンピック委員会)をはじめ各国の選手団を受け入れることや、開閉会式のバス手配や選手村の運営と窓口業務、1万人規模のボランティアの配置・管理など多岐にわたりました。少数精鋭のチームで、コロナ禍という先の見えない状況の中、自分で責任を持って意思決定をする必要があり、毎日フロー状態で仕事に向き合っていました。
    コロナの影響でオリンピックが延期となり、半年の予定だった休職期間を更に1年延長して合計1年半休職し、大会が終わるまでやりきったことで、大きな自信につながりました。

    東京2020組織委員会 当時の写真

    復職後、共創投資部に戻りましたが、周囲のメンバーに「変わったね」と言われることが増えました。休職中の活動によって、判断力や行動力、周囲を巻き込む力が自然と養われたと感じています。
    自信がついたことで、「手挙げ」への意欲も高まり、これまでチャレンジできていなかった「次世代経営者育成プログラム(CMA)」にも挑戦しました。
    また、昇進試験へのチャレンジの機会もいただき、今は管理職として働いているのですが、これも入社当時の私からすると考えられないほどの変化ですね(笑)。

    現在は、私が取得した当時よりも会社の長期休職制度*が充実しているので、「こんなチャンスは早々ない!」というものに出会った時に、キャリアを言い訳に諦めるのではなく、人生の価値観を広げるために思い切って休職をし、やりたいことにチャレンジをする人が増えると良いなと思います。

    *長期休職制度...丸井グループでは、2025年4月より「ステップアップ休職」を導入。個人のチャレンジや成長を促進するための「自己啓発コース」と、キャリアの見直しや「好き」の探求を目的とした「キャリアの見つめ直し・『好き』の探求コース」の2コースを設置している。

    原動力は「誰かの価値を引き出し、最大化すること」

    ―では、桝井さんがお仕事をされるうえでの原動力は何ですか?

    これまでずっと、「誰かの価値を最大化すること」に取り組んできたように思います。そして、そのことに自分の存在意義ややりがいを感じています。

    例えば、マルイ店舗の後方サポート業務を担当していた時は、社員やテナントの方々がより良いパフォーマンスを発揮できるようにバックアップすることが、自分の役割でした。いわば「店舗視点」での価値最大化ですね。
    その後、店舗プロデュース部に異動してからは、丸井全体のパフォーマンスを最大化することを意識して動いていました。「会社視点」で、どうすれば成果につながるかを考えるようになった時期です。
    そして現在の共創投資部では、会社としての価値をどう社会に還元していくか、つまり「社会視点」での価値最大化に取り組んでいます。

    部署異動のたびに自身の置かれる立場も変わり、視座は高まっていますが、「誰かの価値を引き出し、最大化する」というマインドはずっと変わっていません。その想いが形になった時が一番うれしく、私の原動力だと感じます。

    共創投資部で運営した「Future Accelerator Gateway」の写真
    (前列右が桝井さん)

    ―最後に、これからチャレンジしたいことを教えてください!

    「社会視点」での価値最大化へのチャレンジとして、大きく二つあります。 一つは、社会的インパクトの取り組みが企業価値にどう反映されるのかを可視化することです。これは「次世代経営者育成プログラム(CMA)」で取り組んだテーマでもあり、現職の共創投資部でも課題に感じています。特に「人」の可能性に興味があり、人的資本を含む無形資産をどう活用するかについて、手触り感のある情報開示を実現したいと考えています。

    二つ目は、社会課題の解決につながる新たな価値を共創によって生み出す仕組みをつくることです。特に、スタートアップや個人単位で「好き」に情熱を注ぐ方々との共創を通じて、丸井グループ単独では創造できない価値を社会に還元していくことに強い関心があります。
    その一環として、丸井グループの成長戦略の柱である「好き」を応援するビジネスのさらなる拡大に向けて、社内外を対象としたビジネスコンテストの開催をめざしています。これまで社内向けに2回実施してきましたが、今年度は社外の方々にもご参加いただける形へと進化させるべく、準備を進めています。

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